2008年8月25日月曜日

秋の夜風が運ぶブドウの香り

昨日の夜はゆるく涼しい風の吹く心地よい秋だった。
東急でちょっと高めの濃厚ぶどうジュースと豚バラ肉を買い帰宅する途中。
夜風が心地よく,「やっぱこりゃ,秋始まってるじゃねえか。」と気分が高揚した。
ジュースと豚肉のビニール袋をぶんぶん前後に振り,微笑を浮かべながらチャリンコをこぐ。
帰り道を急ぐ。すると,いきなり水しぶきがあがった。水溜りに突っ込んだ気配はない。
次の瞬間,「ガガガガッ」と後輪に何かが絡まり停車した。振り向くと,豚肉が粉砕され肉片をこびりつけている後輪が紫色のしずくと外灯の柔い光を浴びて輝いていた。その姿は妖艶ですらあった。

高額ぶどうジュースと豚肉はもちろん使いものにならず,途中のコンビ二に袋ごと捨てた。
家に着くまで,秋の夜風が後輪にまとわりついた濃厚なブドウ臭を誠実に僕の鼻に届けてくれた。
そのにおいで,すこぶるのどが渇き,ウーロン茶を一気に飲み干した。
高額ぶどうジュースと豚肉を失ったことに対する悲しみと,気分が高揚すると袋を振り回すといった小学生レベルやり方で感情を表現していた自分への怒りがこみ上げてきた。
自分への怒りと悲しみが同居すると,導かれる反応は「笑う」ことであるようだ。笑いが止まらなかった。
秋風のように乾いた笑いが。

皆さん,自転車に乗るときには,買い物袋はカゴに入れましょう。

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