年末から年始にかけてサブリミナルな文献を。
下條先生の新書。「サブリミナル・インパクトー情動と潜在認知の現代」が出ていたので即購入,速読,即読了。
言語と音楽の共通起源のくだりがおもしろかった。
潜在認知研究はこれからますます目が離せません。
そして,以前にも紹介した情動馴化なるもの提唱しているDijksterhuisさんというオランダの社会心理学者?について調べているとScience誌に論文が載ったことがあるすごい人だということが判明。彼の著作を調べてみると気になる論文が多々あったので,そのうち以下2つをピックアップして正月にのんびり読んでいました。
Dijksterhuis, A., & Nordgren, L.F. (2006). A Theory of Unconscious Thought. Perspectives on Psychological Science, 1, 95-109.
Dijksterhuis, A., Aarts, H., & Smith, P.K. (2005). The power of the subliminal: Subliminal perception and possible applications. In R. Hassin, J. Uleman, & J.A. Bargh (Eds.), The new unconscious, 77-106. New York: Oxford University Press.
人が何かを決める際には,それについて頭でよく考えて判断を下すことで,良い結果が得られる。
といった常識を覆す無意識的思考のパワーやばっ。彼がやった実験は,いくつかのマンションから一つを選ぶ時に,4分間それについて考える条件と,4分間考える時間を与えられずにすぐに選択するよう求められる条件と,4分間単純な認知課題をした後に選択を行う条件という3条件のうち,どの条件で選択の質が良いかを調べたもの。
その結果,4分間認知課題に従事させられた条件で最も,質の良い選択が出来ていたとのこと。
これに類似の実験をいくつか行っており,そこでもやはり同様の結果が。
何も考えないで何かしてれば,その間に脳が最適解を出してくれると。
簡単な選択(判断材料が2つや3つ)であれば,意識的に考えて判断を下した方が質が良く,判断材料が複雑になると,無意識的な思考の方が判断の質が良くなるという。なので,大事な判断をしなければならない時には,すぐに考えようとせずに,そのことに注意が向かないように別なことに従事した後で判断を下すとよい。
彼曰く,意識的な思考はトップダウンなもので,意識的に処理出来る情報は制限されてしまい,凝り固まった考えになりがちだと。一方無意識的な思考は,ボトムアップな性質をもち,意識を伴わないので,処理が制限されることなく柔軟に行われるのだという。
ちなみに, 意識的に処理出来る情報量は1秒に10bitsから60bits,人間は全体で11,200,000bits処理できるらしい。
非意識的に膨大な情報を処理しているということ。ちなみに視覚システムは10,000bits。
はてさて,潜在認知研究が臨床心理にどう影響を与えていくだろうか。
潜在的概念連合等は臨床心理に導入されつつあるが目覚ましい展開をしているとは思えない。
注意バイアスなどで扱われる閾下の注意に関しても同様。
無意識的思考研究の臨床的意義に,意識的に頭に巡らしながら
僕の今年は始まりました。
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