最近の気になるテーマ「アレキシサイミア」
感情を制御するには,自分の感情に対する理解が必要となるという。
自分の感情をうまく理解できないこと,例えば,身体的には不快や覚醒が生じているのに,それを不安や恐怖,として感じることができないこととか,をアレキシサイミア傾向という。日本語では失感情症などと称されている。このアレキシサイミア傾向は,心身症患者の性格的な特徴として注目されていたけど,最近の研究では,不安障害や気分障害の患者でも示されるそうだ。不安障害とアレキシサイミア傾向の関連をまとめた昨年のreviewによると,アレキシサイミア傾向をもつパニック障害患者とそれをもたない患者では,前者の方が心理療法の治療効果が低いことが多く示されている。
確かに,現在,世界中で行われている認知行動療法では,自分の感情に対するモニタリングを行ったり,考え方が気分に与える影響についてきづいたりといったことを行うが,それらをうまくやるには,そもそも,自分に生じている感情を把握する能力が前提として備わっている必要がある。なので,感情をうまく理解できない人に対しては,それらの技法の効果が減ずることが想定される。
これらのことから,アレキシサイミア傾向の低減が心理療法の効果を高めるんじゃないだろうか,なんてことを考えたり。
では,いかに,アレキシサイミア傾向を低減するか。まだ,未発表のデータではあるが,広島大学の杉浦先生の書いた,感情制御とマインドフルネスに関する論文に,WellsさんのAttention Training によってアレキシサイミア傾向が低減したという実験結果が報告されていた。おもしろいのは,マインドフルネスは逆にアレキシサイミア傾向を増大させたということ。心身の健康向上によいとしてマインドフルネスが近年注目を集めているが,上記の結果はどういう議論を生むのだろう。Publishが楽しみ。
その他にも,生じた情動に対してラベリング(この感じは不安,この感じは怒りって感じで)するトレーニング等も,感情に対する理解を増大させるために有効だと主張する研究者もいるが,実証的な知見はまだ出ていない(恐らく。ちゃんと調べます。)
最近の気なるテーマその2「自閉症のペアトレ」
自閉症の療育には応用行動分析(ABA)やTEEACHプログラムが有効とされている。
でも,発達センター等の施設で療育を行い得られた成果が,その他の場面で般化されないことがよく指摘されてる。そこで,ABAの知識を親に伝え,家庭での子供との関わりに生かしてもらう,つまり,親を教育して専門家に近い療育者にするといったアプローチがペアトレになる。なぜ,これが気になるかというと,現在,大学の担当ケースで実施することになったから。ペアトレは,多くがABAに基づいていて,日本では肥前式が有名なよう。海外ではPEATというペアトレプログラムがあり,やはりABAに基づいている。ABAは,行動を,それが生じる先行条件と,それが生じた後の事後条件(結果)との関係性から捉えることが基本となる。どの行動に対しても,先行条件ー行動ー結果という枠組みが適用可能であるため,親が一旦この考え方を理解できるようになると,家庭で生じる子供の様々な問題行動に対応可能になるといった利便性がある。
さらに,子供の問題行動に対処できるようになることで,親のストレスや抑うつや不安を軽減するといった副次的な効果があることも,いくつかの研究で示されているようである。
最近の気になるテーマその3「日本心理学会の会員登録」
間に合うかどうか微妙。頑張れポストマン。
これができないと立命で開催の大会で発表できない。
発表したい。頑張れポストマン。
4 件のコメント:
まだ読んでないんやけど、おもしろそうな本あったで。
所眞理雄(編) 『オープンシステムサイエンス-原理解明の科学から問題解決の科学へ』 NTT出版
読む暇ないかもしれんけど、よかったらまた見てみて。
元norikumiin
ありがとう!!
おもしろそ。読む時間は何とか作る。
心理以外の本に,最近目を通してない。
柔軟性に乏しい今の僕の頭の潤滑油的存在になるかも。
先に読んだら,詳細教えて。
自閉症児の療育が気になるなら、谷晋二先生の論文が面白いと思うから読んでみて。
「はじめての応用行動分析」って本を訳した先生で良いよ。
モッサンより
本は読んでたけど,論文には目を通してなかった。参考にします。
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