Future-oriented decision-making in Generalized Anxiety Disorder is evident
across different versions of the Iowa Gambling Task.
Mueller et al. (2010) Journal of Behavior Therapy & Experimental Psychiatry, 41, 165–171.
目的:GADの中核症状は過剰な心配。心配は将来の出来事に対するネガティブな思考。そこで,将来の罰および報酬の欠損への感受性がGADと関連するか検討。
方法:GADQ-IVの基準値以上の学生27名 (GAD群)と基準値以下の大学生20名 (統制群)を対象に,Iowa Gambling Task (IGT)を実施。IGTは"将来の結果"への感受性との関連が示されてきた課題。IGTは,長期の損失と短期の損失への感受性を検討できるよう改訂。
結果と考察:GAD群は,長期の損失が生起する可能性の高い選択を避けることを,統制群より早く学習した。短期の損失への感受性は統制群と差が見られず。GADは,短期の大きな損失への感受性よりも,将来の損失に対する感受性によって特徴づけられる。
コメント.損失予測を,短期・長期といった時間軸を踏まえて検討しているところがおもしろい。報酬予測については,短期と長期で関わる脳領域が異なっており,短期の予測が情動系と関連していたような。損失予測でも,短期と長期で関連する領域が異なるのであれば,関連する心理学的要因も短期と長期で異なるのか。例えば,短期が情動系と強く関連するなら,感情への恐れや不安感受性などは短期的な損失予測と関連して,不確実さ不耐性は長期的な損失予測と関連するとか。また,GADでは,接近的な回避行動(情報探索や確認行動や保証希求)と行動抑制というアンビバレントな回避行動が存在するが,長期と短期の損失予測といった視点から説明することも可能か? 示唆に富む研究。損失予測について,詳しく調べる意義あり。
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